ラウンドアップとは?グリホサート系除草剤について

2019/04/17

ラウンドアップとは?

ラウンドアップはグリホサート系の除草剤であり、特に『ラウンドアップマックスロード』という名前の製品が広く普及しています。ラウンドアップマックスロードの成分は、グリホサートカリウム塩液剤を48%含んでいます。植物の葉や茎にかかることで効力を発揮し、その植物を根まで枯らします。

成分に関しては「非選択性」に分類され、グリホサートの成分によりどんな植物でも枯らしてしまう効果があります。便利である一方、作物が植わっている畑にまくと作物も枯らしてしまうリスクがあります。そのため、ラウンドアップを作物が生えている圃場で使用するケースはありません。

非選択性除草剤は触れたものを全てを無差別に枯れさせてしまうという効果から、農耕地ではない場所に生える雑草を全て枯らせるために使用するのが一般的です。

適用雑草と特長

一年生から多年生雑草まで幅広い雑草に優れた効果を発揮します。多年生雑草の根まで枯れさせることが可能で、効果の持続性や残効性がほとんどないため、使用後すぐに作物の作付けができるのもポイントです。

ラウンドアップは、特に秋季に水田畦畔に散布する用途で非常によく使われています。これにより,翌年7月中旬頃までイネ科多年生雑草が生えることを予防し、春・夏季の刈払い作業を省略することができます。秋季の散布では春季散布と同等の防除効果が得られます。

製品の特長としては、どのような環境下でも安定して成分を発現します。

まず水気に強いのが特長です。散布後1時間以上経過すれば、雨に降られても効果は落ちません。また、散布時に朝露などが付いていても効果に影響ありません。気温が低い時や、日照りの少ない時、乾燥した天気が続いても、確かな効果を発揮します。時間帯も気にしなくて構いません。

注意点としては、非選択性であるため飛散薬害に注意が必要なことが挙げられます。また、茎や葉に液剤がかかってから移行して成分が発現するため、散布してから効果がでるまで少し時間がかかります。

空中散布の可否

今現在、ラウンドアップシリーズで、空中散布専用に作られている薬剤はありません。

ラウンドアップだけでなく、非選択性薬剤は作物や周辺環境への薬害があり得るため、基本的に空中散布は推奨されていません。畦畔などに使用することが多いラウンドアップですが、使用する際には手動で散布を行うことが推奨されています。

特例として、「東日本大震災により津波被害を受けた農地専用ラウンドアップマックスロード」という、ドローンやヘリでのラウンドアップの空中散布が推進されているケースがあります。これについては後述します。

しかし、「除草剤はドローン等では散布できない」と考えていらっしゃる方が多くいますが、これは誤解です。ラウンドアップやサンフーロンをドローン等で散布することは法的に問題なく、散布自体は可能です。農林水産省もドローン等を使用した散布方法に対して特に制限を設けていないと発表しています。

ただし、非選択性除草剤を空中散布するのは、ドリフトや残留農薬が発生する問題が発生する可能性があります。そのため特に農薬メーカーは推奨していません。空中散布を行う場合は圃場ではない場所に使用することを原則に、取扱は慎重に行うのがよいでしょう。

グリホサートについて

有効成分

グリホサートは非選択性であり、1種類の除草剤ですべての雑草を枯らすことが出来ます。そのため、生えている雑草の種類に合わせて多くの種類の除草剤を混ぜたり、それぞれの雑草に合わせた農薬を散布する必要がありません。

効果の出方

グリホサートは植物の「代謝経路」を阻害することで効果を現します。代謝経路とは、生物が吸収した栄養分を体内で使える形に変えて自分の体の成分や活動するためのエネルギーを作る道筋のことです。

特にグリホサートは、タンパク質の原料であるアミノ酸の生合成を阻害します。アミノ酸はアミノ酸の種類ごとに特定の代謝経路を通って作られます。この代謝経路の中のうち、植物にしかない経路を阻害します。これにより、(理論上は)植物へ効果があるが動物には影響が無いという効果の出方をします。

しかし、近年このグリホサートは現在WHOを中心に「人体に悪影響があるのではないか」と危惧されています。この点について後ほど解説します。

その他補足事項

空中散布用に作られたラウンドアップの特例

前述したように、今現在ラウンドアップシリーズで空中散布用に作られた薬剤はありません。

ただし、津波被災地用に空中散布用のラウンドアップが発売されている特例があります。津波被災地とは、『青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県内の東日本大震災により津波被害を受けた農地及びその農地に隣接する道路、のり面、堤とう等』を指します。

また、使用場面は「水田作物と畑作物(休耕田)」となっており、植物を非選択的に根まで枯らすグリホサート系のラウンドアップが選ばれています。

東日本大震災において津波被害を受けた農地では、復旧までの休耕期間における雑草管理が課題となっています。しかし、瓦礫の散乱等によりほ場内に立ち入っての除草作業が困難な地域も非常に多くあります。

この状況を含めると耕作が放置されて荒れ放題になった土地を人力で除草するのは大規模な労力と時間とが必要になるため、特例措置として「無人ヘリによる散布」としての農薬登録が行われたと考えられます。

グリホサートの毒性に関する議論

ラウンドアップの主成分であるグリホサートは、「発がん性物質ではないか」「がん以外にも健康への影響が大きいのではないか」と危険性が問題になり、世界各地で実験や検査が行なわれています。

2015年3月、WHO(世界保健機関)の専門家機関であるIARC(国際がん研究機関)は、グリホサートが発がん物質「2A」の位置づけであるとし、発がん性が強く疑われる薬物であるという声明を行いました。

また、2017年に行われたごく微量のグリホサートを摂取し続ける実験では、グリホサートが人体、特に肝臓に悪影響を及ぼすというデータも出ています。

被験者は実験を通じて脂肪肝疾患を引き起こし、通常肥満の人に見られる非アルコール性脂肪肝疾患となりました。この病気では疲労、衰弱、食欲不振、吐き気、腹痛、血管への影響、黄疸、浮腫といった症状を示します。

こうした実証実験を経て、世界はラウンドアップとその有効成分であるグリホサートの禁止の方向へ動いています。事実、2018年にアメリカのカリフォルニア州でラウンドアップのメーカーであるモンサント社が「ラウンドアップの危険性を告知しなかったこと」を理由に裁判を起こされ、有罪判決が出ています。

現在、日本のホームセンターや薬局などで販売されているラウンドアップ。現状、日本では「毒性は高くない」と認知されて幅広く普及している本薬剤ですが、日本でも議論の机上に上がる日は近いのかもしれません。

参考:
ラウンドアップマックスロード
ラウンドアップマックスロード:GREEN JAPAN
産業用無人航空機用農薬:一般社団法人 農林水産航空協会
図解でよくわかる農薬のきほん:誠文堂新光社
320億円支払い判決が問う「世界一人気の除草剤」の安全性
除草剤グリホサートと健康被害、 因果関係を示唆する結果が続々
非選択性除草剤の秋季散布による水田畦畔の植生管理

2019/04/17