アプロードとは?昆虫成長制御剤(IGR剤)を解説

2019/04/19

有効成分

IGR剤とは、Insect Growth Regulatorの頭文字を取ったもので、昆虫成長制御剤とも呼ばれています。

昆虫成長制御剤は、主にブプロフェジン、テブロフェノジドなどが挙げられます。

ピレスロイド系、フェニルピラゾール系などの殺虫剤は昆虫の神経に作用して殺虫活性を示しますが、IGR剤は昆虫の成長や休眠、産卵等の昆虫特有の機能を阻害します。また、幼虫や蛹の脱皮時など、昆虫の成育上の特定のステージに作用して昆虫の成長を阻害します。

適用害虫

主な適用害虫はウンカ類・ツマグロヨコバイ・コブノメイガ・ニカメイチュウです。

栽培後期のウンカ類・コブノメイガの防除において本田防除剤は多数ありますが、IGR剤は効果を発揮するケースが多いと言えます。

特にウンカ類に対しては、ブプロフェジンが比較的防除時期を選ばす天敵にもマイルドです。またテブフェノジドはコブノメイガ・ニカメイチュウに対して安定して効果を発揮し、かつ天敵である益虫への影響が少ないという特徴があります。

代表的な商品

昆虫成長制御剤(IGR剤)の代表的な商品は、以下の通りです。

  • テブフェノジドを有効成分とする『ロムダン』『ガードワン』
  • ブプロフェジンを有効成分とする『アプロード』

* 空中散布に使用されるのは、『ロムダン』『アプロード』が挙げられます。

空中散布の状況

一般財団法人残留農薬研究所の研究によれば、平成28年度の無人ヘリコプター防除(水稲)における農薬の使用面積は、                   

  • ブプロフェジン:53(千ha)
  • テブフェノジド:31(千ha)

となっており、ブプロフェジンは現在散布されている殺虫剤系農薬の第5位、テブフェノジドは第7位を占めています。

空中散布可能な商品:ブプロフェジン系

2019年1月現在、空中散布可能な農薬は「アプロードゾル」のみとなっています。
現在アプロードゾルは、日本農薬株式会社から発売されています。

アプロードゾル

成分: ブプロフェジン 40.0%

ウンカ類、ヨコバイ類を対象とした液剤散布として使える薬剤です。
ブプロフェジン系は幼虫の脱皮を阻害し、齢末期~脱皮時に死亡させる昆虫成長制御剤です。

成虫に対する殺虫作用はありませんがが、ウンカ、ヨコバイ類の幼虫に対し、その脱皮時に死亡させる殺虫作用と、ふ化しない卵を産卵させて次世代の発生密度を抑制する作用をもちます。

残効性に優れ、ウンカ、ヨコバイ類幼虫に対し、散布後20~30日にも効果を持続するので、散布を多数行う手間が省けます。

ただし、成虫を直接殺す作用がないので、幼虫主体の時期に散布するのが望ましいと言えます。

その場合、幼虫はすぐに死亡するわけではなく、死亡までに3~7日を要するので十分注意しましょう。

空中散布可能な商品:テブフェノジド系

2019年1月現在、空中散布可能な農薬は「ロムダンエアー」のみとなっています。
現在アプロードゾルは、北興化学株式会社から発売されています。

ロムダンエアー

成分:テブフェノジド 20.0%

ブプロフェジン系は幼虫の脱皮を阻害し齢末期~脱皮時に死亡させるのに対して、テブフェノジド系は特にチョウ目に対して、脱皮促進作用により異常脱皮を誘発し死に至らしめる効果があります。

コブノメイガ幼虫とニカメイチュウに対して高い効果を示し、幼虫の生育齢期にかかわらず高い効果を示します。

また、効果の持続性に優れるという特徴もあります。        

薬剤使用上の備考

特にテブフェノジドを有効成分とする薬品は、脱皮促進作用によりチョウ目に効果が強くあります。

そのため、蚕に対しても毒性を及ぼすためので養蚕地帯では使用しないことに気をつける必要があります。使用する際には付近の養蚕業者と相談する必要です。また養蚕地帯以外でも付近にも、蚕のエサとなる桑園がある場合には飛散してかからないよう十分注意しましょう。

一方で、ブプロフェジン系は脱皮を阻害する性質から、また蚕やミツバチなど、有用昆虫に対し影響がなく、クモ類や寄生蜂といった天敵にも実用濃度では影響がないのが特徴です。

いずれの薬剤も、昆虫成長制御剤は適用害虫以外に対する影響が柔らかいという点で使い勝手が良いと言えます。

適用害虫及び使用方法

*『産業用無人航空機用農薬』一般社団法人 農林水産航空協会ページより抜粋

アプロードゾル

作物名 適用害虫名 希釈
倍数
散布液量(ml/10a) 使用時期
ツマグロヨコバイ幼虫ウンカ類幼虫16倍800収穫7日前まで

ロムダンエアー

作物名 適用害虫名 希釈倍数 散布液量(ml/10a) 使用時期 本剤及びデブフェノジドを含む農薬の総使用回数
コブノメイガニカメイチュウ16倍800収穫
21日前まで
2回以内
だいずハスモンヨトウ16倍800収穫
14日前まで
3回以内

参考
産業用無人航空機用農薬:一般社団法人 農林水産航空協会
農薬の大気経由による飛散リスク評価・管理対策最終報告書:一般財団法人残留農薬研究
主な殺虫成分と適用害虫:農業恊同組合新聞
・図解でよくわかる農薬のきほん:㈱誠文堂新光社
殺虫剤の特徴と使用上の注意事項:静岡県病害虫防除所
稲の虫害防除 みんなの農業広場:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ
・ロムダンエアー:北興化学工業株式会社
アプロードゾル:日本農薬株式会社 

2019/04/19