トップジンとは?ベンゾイミダゾール系殺菌剤を解説

2019/04/19

有効成分と適用病害菌

トップジンはベンゾイミダゾール系殺菌剤に分類され、チオファネートメチル、ベノミルといった主な有効成分が挙げられます。

主に水稲で効果がある病害菌は、いもち病、紋枯病、墨黒穂病、ばか苗病、変色米(エピコッカム菌)です。
病害菌のDNA合成の有糸分裂を阻害することで、殺菌作用を発揮します。

その他、約90作物、180病害に対して効果があり、幅広い殺菌スペクトルを有しています。そのため、水稲だけでなく幅広い作物に使用されています。

代表的な商品

抗生物質系殺菌剤の代表的な商品は、

  • チオファネートメチルを有効成分とする『トップジン』『ゲッター』
  • ベノミルを有効成分とする『ベンレート』

などが挙げられます。
このうち、トップジンMは空中散布可能な農薬としても認可されています。

空中散布の状況

一般財団法人残留農薬研究所の研究によれば、平成28年度の無人ヘリコプター防除(水稲)における農薬の使用面積は、

  • チオファネートメチル:70(千ha)

となっており、これは殺菌剤全体の第7位の立場を占めています。
水稲だけの面積で言えば広くはありませんが、適用作物が幅広く、非常に使い勝手の良い薬剤です。

空中散布可能な商品:チオファネートメチル       

2019年1月現在、主な空中散布可能なチオファネートメチルを有効成分とする薬剤には以下が挙げられます。

  • トップジンMゾル
  • (ベフトップジンフロアブル)

* ベフトップジンフロアブルは、小麦専用の航空散布用薬剤です。

トップジンの主要な取扱メーカーは、日本曹達、北興化学になります。

トップジンMゾル                   

成分:チオファネートメチル 40.0%

事実上、現在ベンゾイミダゾール系殺菌剤で水稲に空中散布可能なのは、この「トップジンMゾル」のみになります。そのため、全国の約70千haにこの薬剤が散布されています。

各種病害にすぐれた効果を持っており、予防効果と発病後の蔓延の防止に卓越した効果を示します。

広範囲での作物の病害に基幹の防除剤として使用できる汎用性を持っており、速効性、残効性ともに優れていること、低濃度で高い効果があるというメリットがあります。

また、浸透力が強いため植物の中に浸透している病原菌まで死滅させます。
薬害の心配がほとんどなく、安心して使用が可能なのもポイントです。

※その他、トップジンMゾルが使用可能な薬剤は、小麦、その他麦類、だいず、たまねぎ、やまのいも、みかん になります。

(ベフトップジンフロアブル)               

成分:イミノクタジン酢酸塩 15.7%、チオファネートメチル 26.2%
※水稲には使用不可。小麦に特化した薬剤です。

小麦の赤かび病にとても効果があり、赤かび病菌が産生するかび毒や、デオキシニバレノールの低減効果に優れています。

浸透性が高いトップジンMと、保護殺菌効果が強いベフランを混合したことで、予防・治療両効果に優れており、効果の持続性も高い特徴があります。

薬品使用上の備考       

DNA合成を阻害するという働きから広い範囲の病害に有効です。
しかし、菌に薬剤耐性が出やすいという重大な欠点も有しています。

「いくら薬剤散布しても防除できない」ということが実際に起こるので、耐性菌の出やすい薬剤の使用で作物を農薬中毒にしていないかに気をつける必要があります。

また、同じベンゾイミダゾール系であるベンレートは、無脊椎動物には有害で、特にミミズに対する影響が甚大です。土を豊かにしてくれるミミズといった生物を殺してしまうことで、土をやせ細らせる結果にならないよう注意が必要です。   

適用病害及び使用方法

*『産業用無人航空機用農薬』一般社団法人 農林水産航空協会ページより抜粋

トップジンMゾル

作物名 適用病害名 希釈倍数(倍) 散布液量( ℓ /10a) 使用時期 本剤の使用回数
いもち病変色米(エピコッカム菌) 4~8 0.8 収穫14日前まで 3回以内
墨黒穂病紋枯病 8
小麦 雪腐大粒菌核病 10 0.8 根雪前 3回以内(出穂期以降は2回以内)
赤かび病 8 収穫14日前まで
麦類(小麦を除く) 赤かび病 8 収穫21日前まで 3回以内(出穂期以降は1回以内)
雪腐大粒菌核病 10 根雪前
だいず 紫斑病 5 0.8 収穫14日前まで 4回以内
たまねぎ 灰色腐敗病 5 0.8 収穫前日まで 3回以内
16 2.4
やまのいも 葉渋病炭疽病 5 3 収穫7日前まで 5回以内
みかん 貯蔵病害(青かび病、緑かび病、軸腐病) 10 5 収穫前日まで 5回以内

ベフトップジンフロアブル

作物名 適用病害名 希釈倍数 使用量(ℓ/10a) 使用時期
小麦赤かび病8倍800収穫14日前まで

参考
産業用無人航空機用農薬:一般社団法人 農林水産航空協会
農薬の大気経由による飛散リスク評価・管理対策最終報告書:一般財団法人残留農薬研究
・図解でよくわかる農薬のきほん:㈱誠文堂新光社
主な水稲殺菌成分の特性一覧:農業恊同組合新聞
トップジンM水和剤:日本曹立株式会社                       

2019/04/19